PER・PBR・ROEとは?銘柄分析での使い分け

PER・PBR・ROEとは? 銘柄分析での使い分け 株式投資の基礎・実践

PER・PBR・ROEとは?日本株の銘柄分析での使い分けをわかりやすく解説

日本株に投資していると、「PERが低いから割安」「PBRが1倍を割れているから買い」「ROEが高い企業は優良企業」といった言葉をよく目にします。

確かに、PER・PBR・ROEは株式投資で重要な指標です。しかし、それぞれが何を表しているのか、どのように使い分ければよいのかを理解していないと、割安だと思って買った銘柄がさらに下落することもあります。

私もサラリーマン投資家として日本株を分析するなら、株価の安さだけで判断するのではなく、企業の稼ぐ力や資産の状況まで確認したいところです。

この記事では、PER・PBR・ROEの意味と計算方法を初心者にもわかりやすく解説し、実際の銘柄分析でどのように組み合わせればよいのかを紹介します。

  1. PER・PBR・ROEとは?まずは3つの違いを理解しよう
  2. PER(株価収益率)とは?利益から株価の割安・割高を判断する指標
    1. PERの計算方法
    2. PERが低いと割安なのか?
    3. PERの目安は何倍?
    4. PERを使うときの注意点
  3. PBR(株価純資産倍率)とは?企業の純資産から株価を評価する指標
    1. PBRの計算方法
    2. PBR1倍割れは買いのサイン?
    3. 日本株でPBRが注目される理由
    4. PBRを使うときの注意点
  4. ROE(自己資本利益率)とは?企業の稼ぐ効率を確認する指標
    1. ROEの計算方法
    2. ROEは高いほど良いのか?
    3. ROEの目安は何%?
  5. PER・PBR・ROEの関係とは?3つの指標を組み合わせる方法
    1. 具体例でPER・PBR・ROEの関係を確認
    2. 3つの指標を組み合わせるメリット
  6. 銘柄分析ではPER・PBR・ROEをどう使い分ける?
    1. 1.PERで利益に対する株価を確認する
    2. 2.PBRで資産に対する株価を確認する
    3. 3.ROEで資本効率を確認する
    4. 4.決算短信と業績予想で裏付けを取る
  7. PER・PBR・ROEから考える銘柄分析のパターン
  8. PER・PBR・ROEを調べる方法
  9. よくある質問(FAQ)
    1. Q1.PERが低い銘柄は買いですか?
    2. Q2.PBR1倍割れの銘柄は割安ですか?
    3. Q3.ROEは何%あれば優良企業ですか?
    4. Q4.初心者はPER・PBR・ROEのどれを重視すべきですか?
    5. Q5.PER・PBR・ROEだけで株価の将来を予測できますか?
  10. まとめ:PER・PBR・ROEは組み合わせて使うことが大切

PER・PBR・ROEとは?まずは3つの違いを理解しよう

PER・PBR・ROEは、企業を異なる角度から評価するための指標です。

指標 正式名称 主にわかること
PER 株価収益率 利益に対して株価がどの程度評価されているか
PBR 株価純資産倍率 純資産に対して株価がどの程度評価されているか
ROE 自己資本利益率 株主資本を使ってどれだけ利益を生み出したか

簡単にまとめると、次のようになります。

  • PER:利益から見た株価の評価

  • PBR:純資産から見た株価の評価

  • ROE:株主資本を活用する効率

この3つを組み合わせることで、株価が割安に見える理由や、企業の収益力に問題がないかを考えやすくなります。

ただし、どの指標も単独で「買い」や「売り」を判断できる万能な数字ではありません。

PER(株価収益率)とは?利益から株価の割安・割高を判断する指標

PERは「Price Earnings Ratio」の略で、日本語では株価収益率といいます。

株価が1株当たりの利益(EPS)の何倍まで買われているかを示す指標です。投資家が企業の利益に対して、どの程度の価格をつけているのかを判断する際に使います。

PERの計算方法

PERは、次の計算式で求められます。

PER = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)

例えば、株価1,500円、1株当たり利益が100円の企業の場合、PERは15倍です。

1株当たりの利益100円に対して、株価が1,500円で評価されているということです。

PERが低いと割安なのか?

一般的には、PERが低い銘柄ほど利益に対して株価が低く、割安と判断されることがあります。

ただし、ここで注意したいのが、PERが低い理由です。

例えば、業績が好調で利益が安定しているにもかかわらず、投資家から十分に評価されていない企業であれば、割安株の候補になる可能性があります。

一方で、業績の悪化や市場縮小が予想されている企業は、将来の利益が減ると見込まれてPERが低くなっている可能性もあります。

つまり、PERが低いという理由だけで買うのは危険です。

PERの目安は何倍?

PERに絶対的な適正水準はありませんが、銘柄を比較する際には、次のような視点が役立ちます。

PERの水準 分析するときの視点
10倍未満 割安の可能性があるが、業績悪化にも注意
10〜15倍程度 利益水準と成長性を確認する
15〜20倍程度 同業他社や利益成長率と比較する
20倍超 成長期待が織り込まれている可能性を確認する

※上記は分析の入り口としての便宜的な目安であり、売買基準ではありません。業種、金利環境、利益成長率、景気動向などによって適正水準は変わります。

例えば、安定した利益を出す成熟企業と、今後大きな成長が期待されるIT企業では、適正と考えられるPERが異なることがあります。

私なら、PERを見るときは同業他社との比較に加え、過去数年間のPER推移や今後の業績予想も確認します。

PERを使うときの注意点

PERには、主に次の注意点があります。

  • 赤字企業では、通常のPERによる比較が難しい

  • 一時的な特別利益によってPERが低く見えることがある

  • 将来の業績予想が下方修正されると、割安に見えていた銘柄の評価が変わる

  • 成長企業では、現在の利益だけでは株価の評価を判断しにくい

特に日本株では、決算発表や業績予想の修正によってEPSが変わるため、株価だけでなく利益の変化にも注目することが大切です。

PBR(株価純資産倍率)とは?企業の純資産から株価を評価する指標

PBRは「Price Book-value Ratio」の略で、日本語では株価純資産倍率といいます。

株価が1株当たり純資産(BPS)の何倍になっているかを示す指標です。

PERが利益に注目するのに対し、PBRは企業の純資産に注目します。

PBRの計算方法

PBRの計算式は次のとおりです。

PBR = 株価 ÷ 1株当たり純資産(BPS)

例えば、株価1,000円、1株当たり純資産が1,250円の企業の場合、PBRは0.8倍です。

株価が1株当たり純資産を下回っている状態になります。

PBR1倍割れは買いのサイン?

日本株では「PBR1倍割れ」という言葉をよく見かけます。

PBRが1倍の場合、株価と1株当たり純資産が同水準です。PBRが1倍を下回る場合、株式市場での評価額が会計上の純資産を下回っています。

しかし、PBR1倍割れだからといって、必ずしも割安とは限りません。

その理由は、純資産の金額だけでは企業の将来の稼ぐ力がわからないためです。

例えば、次のような企業を考えてみましょう。

  • A社:PBR0.7倍、ROE12%、安定した利益成長

  • B社:PBR0.5倍、ROE2%、業績が長期的に低迷

数字は説明用の仮定ですが、B社のほうがPBRは低くても、資本を効率よく活用できているのはA社です。

B社は保有資産に対して株価が低く評価されている一方、資産を十分に利益につなげられていない可能性があります。

もちろん、A社とB社のどちらが投資対象として優れているかは、財務状況や株価、成長見通しなどを確認しなければ判断できません。

大切なのは、PBRの低さだけでなく、なぜ市場から低く評価されているのかを考えることです。

日本株でPBRが注目される理由

PBRは、日本企業の資本効率や企業価値向上を考えるうえでも重要な指標です。

東京証券取引所は2023年3月、プライム市場とスタンダード市場の上場企業に対し、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請しました。

その後、企業の資本効率改善や株主還元、成長投資などが投資家の注目を集めるようになりました。

参考:野村総合研究所:PBR(株価純資産倍率)

ただし、PBRの改善策を発表したからといって、株価が必ず上昇するわけではありません。

自社株買いや増配、事業ポートフォリオの見直しなどについては、発表内容だけでなく、実際に企業価値の向上につながっているかを確認する必要があります。

PBRを使うときの注意点

PBRを分析する際は、次の点にも注意しましょう。

  • 純資産が多くても、本業の収益力が弱い場合がある

  • 保有資産の価値が将来的に減少する可能性がある

  • ブランド力や成長性など、貸借対照表に表れにくい価値もある

  • 業種によって適切な比較対象が異なる

銀行や保険などの金融業では自己資本や資本規制が重要になる一方、IT企業などでは無形資産や将来の成長性が企業価値に大きく影響する場合があります。

PBRは、企業の資産面から株価を評価する指標として活用し、業種特性も踏まえて判断しましょう。

ROE(自己資本利益率)とは?企業の稼ぐ効率を確認する指標

ROEは「Return on Equity」の略で、日本語では自己資本利益率といいます。

株主から出資された資本などを使って、企業がどれだけ効率よく利益を生み出したかを確認する指標です。

PERやPBRが株価の評価に関する指標であるのに対し、ROEは企業の資本効率を測る指標です。

ROEの計算方法

ROEの一般的な計算式は次のとおりです。

ROE = 当期純利益 ÷ 期首・期末の平均自己資本 × 100(%)

例えば、年間の当期純利益が100億円、期首と期末の平均自己資本が1,000億円の企業の場合、ROEは10%です。

株主資本などを基にした自己資本を活用し、年間でその10%に相当する純利益を生み出した計算になります。

なお、実際のROEは、採用する会計数値やデータ提供会社の算出方法によって違いが出ることがあります。銘柄間で比較するときは、計算基準をそろえることも大切です。

参考:日本取引所グループ:自己資本当期純利益率(ROE)

ROEは高いほど良いのか?

一般的には、ROEが高い企業ほど資本効率が高いと考えられます。

ただし、ROEが高ければ無条件に優良企業というわけではありません。

例えば、利益が増えてROEが上昇している企業と、自己資本が減少したことでROEが上昇している企業では、意味合いが異なります。

また、借入金を多く活用する企業では、自己資本が相対的に小さくなることでROEが高くなる場合があります。

ROEを分析する際は、次の項目も合わせて確認しましょう。

  • 売上高や営業利益が継続的に伸びているか

  • 自己資本比率が極端に低くなっていないか

  • 有利子負債が過大になっていないか

  • 一時的な利益によってROEが上昇していないか

  • 過去数年間にわたって安定したROEを維持しているか

ROEの目安は何%?

ROEにも、すべての業種に共通する絶対的な合格ラインはありません。

銘柄分析では、例えばROE5%、10%、15%といった水準を比較の目安として使う方法があります。

ただし、これらは便宜的な目安です。ROE10%なら必ず優良、5%なら必ず低評価という意味ではありません。

同業他社との比較や、企業自身の過去の実績、今後の収益見通しを重視しましょう。

特に注目したいのは、ROEの水準だけではなく、その変化です。

利益の成長や事業構造の改善によってROEが上昇している企業は、資本効率が改善している可能性があります。

一方、借入金の増加や自己資本の減少によってROEが上昇している場合は、財務リスクも確認する必要があります。

PER・PBR・ROEの関係とは?3つの指標を組み合わせる方法

ここまで、それぞれの指標を個別に解説してきました。

実際の銘柄分析では、3つを組み合わせることで、より多角的に企業を評価できます。

重要な関係式の一つが、次の式です。

PBR ≒ PER × ROE

ROEを小数で表す場合の関係式です。例えばROE10%なら0.10を使います。

厳密には、PERとPBRの計算に使う利益や自己資本の期間、平均値の採用方法などによって差が生じますが、3つの指標の関係を理解するうえで役立ちます。

具体例でPER・PBR・ROEの関係を確認

次の2社を比較してみます。数値は計算方法を説明するための仮定です。

指標 A社 B社
PER 10倍 20倍
ROE 10% 10%
PBR 約1倍 約2倍

A社とB社はROEが同じですが、PERはB社のほうが高くなっています。

この場合、B社は同じ資本効率でも、利益に対して市場から高い評価を受けていることになります。

その背景には、将来の成長期待や事業の安定性、競争力などの違いがあるかもしれません。

ただし、PERが高い理由が将来の成長期待なのか、単に株価が過大評価されているのかは、この数字だけでは判断できません。

反対に、A社のPERが低いからといって、必ずA社が有利とも限りません。利益の持続性や今後の業績予想を確認することが必要です。

3つの指標を組み合わせるメリット

PER・PBR・ROEを組み合わせると、次のような分析ができます。

  • PERで利益に対する株価の評価を確認する

  • PBRで純資産に対する株価の評価を確認する

  • ROEで資本を使って利益を生み出す効率を確認する

この3つを見ることで、「株価が安いように見える企業」と「効率よく稼いでいる企業」を区別しやすくなります。

参考:経済産業省:PBRの分解(PER×ROE)

銘柄分析ではPER・PBR・ROEをどう使い分ける?

サラリーマン投資家が日本株の投資先を探すなら、最初から3つの指標を複雑に計算する必要はありません。

私なら、次のような流れで候補銘柄を絞り込みます。

1.PERで利益に対する株価を確認する

まずはPERを見て、株価が利益に対してどの程度評価されているかを確認します。

同業他社と比較し、PERが低い場合は、その理由を調べます。

業績が安定しているのにPERが低いのか、それとも将来の減益が予想されているのか。この違いは重要です。

2.PBRで資産に対する株価を確認する

次にPBRを確認し、純資産に対して株価がどの程度の水準にあるかを見ます。

PBRが1倍を下回っている場合は、資産の内容や収益力、資本政策を調べます。

現預金や保有株式などの資産が豊富でも、本業の収益力が低ければ、株価が低く評価され続ける可能性があります。

3.ROEで資本効率を確認する

最後にROEを確認します。

利益を効率よく生み出しているか、過去と比べて改善しているか、同業他社と比べてどうかを調べます。

ROEが低い企業でも、事業改革や収益改善によって今後の向上が期待できる場合は、分析対象になることがあります。

ただし、改善が実現するかどうかは、決算や会社の具体的な施策を確認する必要があります。

4.決算短信と業績予想で裏付けを取る

PER・PBR・ROEは、銘柄分析の入口です。

最終的な投資判断では、決算短信や有価証券報告書、会社の業績予想なども確認しましょう。

特に注目したいのは、売上高、営業利益、当期純利益、キャッシュフロー、有利子負債、配当方針です。

指標が魅力的に見えても、利益の減少や財務状況の悪化が進んでいれば、投資リスクは高くなります。

PER・PBR・ROEから考える銘柄分析のパターン

3つの指標を使うときは、組み合わせによって分析の着眼点を変えると便利です。

PER PBR ROE 分析の着眼点
低い 低い 高い 割安に評価されている理由や利益の持続性を確認
低い 低い 低い 収益力の低さや業績低迷の原因を確認
高い 高い 高い 高い資本効率が続くか、株価に成長期待が織り込まれていないかを確認
高い 高い 低い 将来の成長期待や一時的な利益減少などを確認

この表はあくまで分析の出発点です。どの組み合わせであっても、指標だけで買い・売りを決めることはできません。

例えば、PER・PBRが低くROEが高い企業は、一見すると魅力的です。しかし、主力事業の需要が縮小していれば、将来の利益が減少する可能性があります。

反対に、PERが高い企業でも、継続的な利益成長が実現すれば、現在の株価評価が妥当になることもあります。

大切なのは、現在の数字だけでなく、将来の業績と株価評価のバランスを考えることです。

PER・PBR・ROEを調べる方法

日本株の銘柄分析では、証券会社の銘柄情報や企業のIR資料を活用できます。

参考情報を確認する際は、次のようなサイトが便利です。

なお、各サイトで表示されるPER・PBR・ROEは、実績値か予想値か、連結か単独か、計算に使う決算数値などによって違う場合があります。比較するときは、算出条件を確認してください。

よくある質問(FAQ)

Q1.PERが低い銘柄は買いですか?

必ずしもそうではありません。

PERが低い理由には、株価が割安に評価されている場合だけでなく、将来の業績悪化が予想されている場合もあります。同業他社との比較や業績予想を確認して判断しましょう。

Q2.PBR1倍割れの銘柄は割安ですか?

PBR1倍割れは、株価が1株当たり純資産を下回っている状態です。ただし、資産の収益性や将来の利益成長が低く評価されている可能性もあるため、PBRだけで割安とは判断できません。

Q3.ROEは何%あれば優良企業ですか?

すべての業種に共通する絶対的な基準はありません。ROEの水準に加えて、同業他社との比較、過去からの推移、利益の安定性、財務健全性を確認することが大切です。

Q4.初心者はPER・PBR・ROEのどれを重視すべきですか?

まずはPERで利益に対する株価の評価を確認し、PBRで資産面、ROEで資本効率を確認する方法がおすすめです。3つを組み合わせることで、単独の指標では見えにくい企業の特徴を把握しやすくなります。

Q5.PER・PBR・ROEだけで株価の将来を予測できますか?

できません。

これらは企業や株価を評価するための指標であり、将来の株価を保証するものではありません。業績予想、決算内容、金利、景気、需給、株主還元策なども総合的に確認する必要があります。

まとめ:PER・PBR・ROEは組み合わせて使うことが大切

PER・PBR・ROEは、日本株の銘柄分析で基本となる重要な指標です。

最後に、それぞれの役割を整理しておきます。

  • PER:利益に対して株価が割安か、割高かを考える

  • PBR:純資産に対して株価がどの程度評価されているかを考える

  • ROE:自己資本を使って効率よく利益を生み出しているかを考える

私たちサラリーマン投資家は、日中ずっと株価をチェックできるわけではありません。だからこそ、銘柄選びの段階で基本的な指標を確認し、投資対象を絞り込むことが大切だと考えています。

ただし、PERが低いから買う、PBRが1倍を割れているから買う、ROEが高いから安心という単純な判断は避けたいところです。

株価の評価、企業の資産、利益を生み出す効率。この3つをセットで確認することが、納得できる銘柄分析につながります。

まずは気になる日本株を1銘柄選び、PER・PBR・ROEを同業他社と比較するところから始めてみてはいかがでしょうか。

※本記事は株式投資に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は、ご自身の責任で行ってください。

タイトルとURLをコピーしました